事業内容BUSINESS

横浜工作所では、近年多様で複雑化する船舶修繕・保守に対し、豊富な実績・経験に基づいて一隻一隻の課題と向き合っています。
また、船舶修繕で培った技術や経験、設備を活用して、新規事業にも積極的に取り組んでいます。

東京湾では、タンカー等の大型船をはじめ様々な船が毎日約500隻も出入りしています。
この数字は、世界有数の海上交通の要所であるマラッカ海峡の2倍近くにもなります。
私たちは、それら多種多様な船舶の修理に24時間・365日対応しています。
東京湾近郊において、ドライドック修理(上架修理)と沖修理(出張修理)の両方を柔軟に担える数少ない会社が横浜工作所なのです。

船舶修繕について

船舶は、陸上の自動車とは異なり、出航後に洋上で故障や破損をしても容易には助けてもらえません。最悪の場合には操縦不能で漂流したり、沈没してしまう可能性もあります。そうした事態に陥らないよう船舶の安全航行を担保するため、船舶安全法で定期・中間検査が義務付けられています。検査では、機関等の開放検査、船体外観検査、板厚測定があり、ドックに入渠して船体を完全に持ち上げる必要があります。その他、船主が任意で実施する合入渠(あいにゅうきょ・合ドック)という検査があります。
横浜工作所では、船舶の安全航行のために緊急修理や定期メンテナンス等を行い、常に万全な状態で航行できるようサポートしています。

船体修繕

船体の破損部の修繕や塗装、甲板上の機器の修理を行います。特に海水に直接浸かる喫水線(船体が水に浮かんだ際の水面の線)下はすぐに錆(さび)が出るため塗装で保護したり、腐食等で薄くなってきた鋼材を交換したりする必要があります。塗装は、船体の塗膜保護と海藻・貝類等の付着防止のために行われます。船底に水生生物が付着すると、重量増による速力低下や水流抵抗による燃費悪化等、大きなエネルギーロスにつながります。

  • 足場設置

  • 大型船上架

機関修繕

主機関のメインエンジン・軸・プロペラの整備や修繕を行います。数十万トンもの大きさの船舶を推進させる動力を生み出すメインエンジンは、航行中、長時間燃料を燃焼し続ける過酷な状況下で動いています。定期検査では、メインエンジン等の解放(分解)を行い予防的修繕計画等に則り、損傷した部品のチェックや摩耗した部品の交換等を行います。

  • メインエンジンの整備

  • プロペラ軸の修繕

  • 油圧シリンダの研磨

電気修繕

船舶では、電気、水、圧縮空気、蒸気といった様々なものを船内で作っています。
電気については、発電所から家庭に電気が届くまでの電気設備全てが、船内に設けられているのです。そのため、限られたスペースに膨大な数の設備・器具・計器が装備されています。船舶の電気に関する設計・装備・保守等を「船舶電装業」といいます。

  • 電気部品の修繕・交換

配管修繕

船舶の中には、多種多様な配管が設置されています。特に大型船舶では、機関配管や各部屋等に張り巡らされた配管が、数万本単位で設置されています。それら配管には、「海水」「清水」「燃料油」「潤滑油」「蒸気」「窒素」「圧縮空気」など様々なものが流れています。万一、配管が詰まったり漏れたりして故障すると、船舶の安全航行に支障が生じたり、衝突や座礁等の海難事故の発生原因になったりします。船舶の配管は、いわば体内に張り巡らされた血管のようなものなのです。

  • 配管溶接

部品交換

船舶修繕を行う際、古い型式の部品が製造中止等で入手困難な場合には、当社で自作することがあります。そのため構内にパイプ・鋼材・板材等を在庫し、それらを加工する旋盤・溶接機器等を常設して即応可能な体制をとっています。

  • 熟練の腕による部品加工

  • 多種多様な資材在庫

油圧ホース交換

油圧ホースは、油圧を動力源とする機械に使用され、作動油を適切に送り出すために必要不可欠なものです。船舶、陸上プラント設備にも多く使用されています。横浜工作所では、現場調査から油圧ホースの製作・取付まで一貫体制で対応しています。

  • 油圧ホースの製作・取付

油回収機・オイルフェンス設置

船舶関連の企業にとって、海洋汚染防止の観点からも油の流出対策は不可欠です。中小型船舶のお客様の立場に立って、小型で小回りの利く使い勝手の良い製品を提案しています。

船舶修繕の場所

船舶修繕は、故障、劣化、事故等の理由により行われますが、その作業内容には、一つとして同じものはありません。
修繕を行う場所には、構内のドック、出張先、浮きドック等があります。

沖修理

沖修理とは、船舶が港外の洋上や岸壁に停泊中に修理することをいいます。ドックに入渠して修繕するのがベストですが、緊急性を要したり積荷や航路等の都合でドックに運べない場合等に行われます。

  • 自動車運搬船サイドランプ脱落復旧工事

ドライドック

船体の検査や修理等のために船舶を修理する専用の場所をドック(船渠、乾ドック)といいます。
大型船舶を修理する一般的なドックは、船体がドックに進入(入渠)すると、海と繋がっている水門が閉められドック内の海水をポンプで徐々に排水して船底などの工事を行います。

  • 当社の構内ドック

当社の上架船台では陸上で船を載せる台車を組み、スロープから水中に沈めてウインチで引っ張る方法で陸上に引き上げます。その後、船体の修理や船底に付着した貝類等の除去清掃等を行い塗装します。スクリューの整備もこの時に行います。

フローティングドック

フローティングドック(浮きドック)は、海上に浮かんだドックで凹型のバラストタンク内に海水を注水して沈ませ、海水を排水すると浮上する仕組みです。ドックを沈めた状態で船舶を引き入れた後、ドック内の水を排水して船舶を乗せた状態でドックを海上に浮き上がらせます。

フローティングドック工法

横浜工作所では、海上土木工事に使用されるケーソンドックを利用して、アメリカ陸軍・海軍の大型船舶6隻を2隻ずつ上架して修理を行いました。型式の異なる船を2隻並べて上架した修繕は、世界でも類を見ないと思われ、当社の将来的発展を見据えた大きな一歩となりました。 【動画】おそらく世界初!ケーソンドックによる型式の異なる2隻同時上架の様子

船舶修繕の例

構内ドックでの各種修繕、定期メンテナンス等から全国各地への沖修理(出張修理)まで、様々な船舶の課題に柔軟かつ迅速に対応しています。

  • 米軍艦船の修繕・メンテナンス

  • 国の重要文化財日本郵船氷川丸の改修・整備

  • 衝突船緊急修繕

[参考]船舶の種類

船舶は用途によって様々な種類があります。大別すると下記の4種類に分けられます。

商船 旅客船
カーフェリー、遊覧船、クルーズ船など
貨物船 一般貨物船、コンテナ船、タンカー船(油槽船)、液化ガス専用船(LPG船、LNG船)、自動車運搬船、ばら積み船など
漁船 各種漁船、捕鯨船、トロール船など
特殊船 海底ケーブル船、気象観測船、調査船、タグボートなど
艦船 護衛艦、巡洋艦、駆逐艦などの軍用艦
PAGE TOP