プロジェクトストーリー 培った技術と経験を結集し
損傷の酷いケーソンドックを救え

プロジェクトメンバー

工作課 課長Technical Department

(1993年入社)

入社後、現場での技術員を経て、現在は工作課を率いる課長を務める。今回のプロジェクトでは、受注獲得のためのお客様への提案から関わり、現場での工事を指揮する役割を担う。

工場課船体チーム溶接グループWelding Group

(2000年入社)

主に溶接の専門家として、工事現場をまとめる立場を担っている。今回のプロジェクトでは、20名近くの作業員をマネジメントしながら工事を進行していく現場のリーダーを務める。

品質安全管理グループ長Quality Controlling and Safety Group

(2018年入社)

工事の安全衛生管理や品質管理を担うグループの責任者を務めている。今回のプロジェクトでは、現場における仮設事務所の設営や作業員の労働環境整備などの後方支援を担う。

経営企画課 課長Management Planning Section

(2021年入社)

大手造船会社の設計職からの転職。入社後早々に今回のプロジェクトに関わり、前職で得た知識や経験を活かして、修理方法の検討や工事計画の立案などの上流工程を担当。

EPISODE 01 損傷の酷いケーソンドックの
修繕プロジェクト
大手企業も匙を投げた
難題に果敢に挑む

当社は長年に渡り船舶修繕の第一人者として業務をしていますが、今回はケーソンドックという特殊な作業船の修繕案件でした。ケーソンとは鉄筋コンクリート製の巨大な箱で、防波堤や橋梁の土台となる構造物です。このケーソンを海上で製作し、設置場所に進水させるための凹型の船がケーソンドックです。お客様から、長さが50m以上、高さが20m近くあるケーソンドックが、経年により破損が酷いので修理できないかという要請を受け現地に向かいました。
私はこのプロジェクトで、現場の作業員をまとめて修繕工事を指揮監督する役割を担いました。ケーソンドックが係留されている場所に夏目さんと共にどのような状態なのかを確認に行きました。すると、損傷具合がとても酷くて……。ケーソンドックは、内部のタンクに海水を注入することで沈下させ、ケーソンを進水させる仕組みなのですが、側面が両舷とも劣化し、水圧に耐えられずに大きく凹んでいました。最初にその有り様を見た時は、『本当にこの破損を修理できるのだろうか?』と、幾多の修繕工事を経験している私でさえ正直悩みました。それほど損傷具合が酷かったのを覚えています。
お客様は、大手造船会社にも相談したそうですが、あまりに損傷が酷く、一度ドックに収容し構造から見直す大規模工事になるため、莫大な費用がかかると聞かされ困っていました。このケーソンドックは長年に渡り、防波堤や橋梁の土台など、人々の暮らしの安全や社会インフラを支えるために活躍してきたいわば陰の功労者です。もし私たちが匙を投げてしまえば、「廃棄」するしかないという岐路に立たされていました。会社に戻り設計部門も交えて協議を重ね、なんとか私たちの手で、この「老体」を現場に復帰させてあげることはできないかと修繕方法を探りました。そして、私たちが培ってきた経験と技術の粋を集めた修繕計画をお客様に提案した結果、見事当社に修繕工事を任せていただけることになりました。

EPISODE 02 懸命に知恵を絞り、
想定していた
最悪のケースに
立ち向かう

私は、夏目さんたちが獲得してきたプロジェクトを受けて、このケーソンドックの修繕方法の検討と工事計画の立案を担当しました。実は私は、この直前に大手造船会社から横浜工作所に転職してきたばかりで、初仕事として、いきなりこのビックプロジェクトを任されることに驚きを隠せずにいました。前職では10年以上、新造船の構造設計に携わってきましたが、こうした修繕案件ではまったく違うノウハウが求められるため、私にとっても新たなチャレンジでした。
しかも、想像していた以上にケーソンドックの内部構造がボロボロだったため、修繕方法を考えるのも大変でしたよね。牧瀬さんも苦労されたのではないですか。
はい。実際に表面の鋼板をはがして内部構造を探ってみると、応急処置を繰り返した痕跡だらけで、想定していた中でも最悪のケースだったのです。でも、夏目さんをはじめ社内のベテランの方々からいろいろとアドバイスをいただき、私自身も『こういう構造にすれば修理できるのではないか』という気づきがたくさんあって、自分なりに知恵を振り絞って計画しました。難しい修繕でしたが、期待に応えたいという気持ちと、老体のケーソンドックを救ってあげたいという使命感に駆られて大いにやりがいを感じました。
このプロジェクトは、本社の近くにケーソンドックを係留できる岸壁を借りて、そこで修繕工事を進めたのですが、私は現場の安全衛生管理担当として、裏方からこのプロジェクトに関わりました。
工事現場は、私たちのような技術作業員だけで運営できるものではなく、高橋さんのような事務方のスタッフの力が必要不可欠なのです。
今回の工事現場は、作業員が打ち合わせしたり、休憩したりできる設備が何もない岸壁でしたので、まずそこにプレハブの仮設現場事務所を建てることから手配しました。工事がスタートすると、水道も通っていない場所だったので、毎日、作業員の手洗いなどに必要な水をタンクに詰めて現場に運搬しました。そして、安全衛生管理者として定期的に現場を巡回して危険なところがないかをチェックし、問題が見つかれば技術者の方々と相談して改善していきました。工事期間中はなかなか大変でしたが、社外で長期間に渡り、現場の立ち上げ段階から携わる機会はあまりないので、私自身も良い経験となりましたし楽しんで取り組んでいました。

EPISODE 03 後方支援も得て
多くの技術者と力を合わせ、
修繕工事を進めていく

このケーソンドックの修繕工事は規模も大きく、300トン以上の鋼材を調達し本社工場で必要な加工を行い、それを現場に運送して工事を行っていく毎日でした。
現場もパートナーを含めて最大20名近くの技術者が常時携わっていました。私は現場を指揮するリーダーとして、技術者たちに指示を出して修繕工事を進めていきましたが、やはり現場で多くの技術者をまとめるのは大変でした。
でも、たくさんの技術者と力を合わせて、ひとつのことを成し遂げていくのが、やはり現場の醍醐味です。当社は経験豊富で技術力の高い技術者がたくさんいるので、困難と思われる修繕工事でも実現することができます。今回も廃棄の岐路に立たされていた老体のケーソンドックが復元され、現場でまた活躍できる姿が見られることは感慨深いですね。
このプロジェクトでも技術者の皆さんが頑張ってくれたおかげで、大きなトラブルもなく工事を完遂することができました。あと、高橋さんをはじめ、縁の下で工事を支えてくれた皆さんにも、とてもお世話になりました。高橋さんがしっかりサポートしてくれたおかげで、私たちも気持ちよく仕事に打ち込むことができました。
現場の方々が、安全かつ快適に作業ができる環境づくりに努めてきましたが、ある時、技術者の方から、「いつもきれいにしていただいて、ありがとうございます」とお礼の言葉とともにお菓子をいただいたことがありました。些細なことですが、私もこのプロジェクトに貢献できているのかなと実感できて、その時は本当にうれしかったです。

EPISODE 04 現場で味わう達成感と
お客様からの感謝の言葉が、
この仕事の喜び

今回は特に大きな修繕工事だったので、工事が終わった時はとても達成感がありましたし、プロジェクトに携わった大勢の皆さんと喜びを分かち合いました。
修繕工事を完了させたケーソンドックをお客様に納入した際に、先方の役員の方から、『ここまで見事に直していただき、本当にありがとうございます』とお礼の言葉をいただきました。そんな時は、自分の仕事に誇りを感じます。
設計部分を担当した私としても難しいプロジェクトだったので、果たして構造的に強度が保たれているのか不安な面もありました。しかし、今も現場で問題なく活躍していると聞き、ほっとしています。
当社は向上心があれば、いくらでも成長できる環境だと思います。会社自体も新しい事業にどんどん挑戦していこうとしていますし、これからもっと成長し面白くなる企業だと思います。
私は大手造船会社から転職してきたので特に強く感じますが、この会社は少数精鋭なので個人に委ねられる裁量が大きい。今回のプロジェクトでも、修理方法等をすべて考えて計画を立て、自分のアイデアを存分に発揮することができました。これまで私が培ってきた知識をフルに活かしながら、会社の成長に貢献していきたいと考えています。
横浜工作所は「工作所」と名がつく通り、船舶修繕だけでなく浮桟橋の製作や陸上プラントの整備等、要請があればなんでも手がけています。今回のケーソンドックもその一例であり、今まで経験したことがない新しいことにチャレンジできて変化があって飽きることがないのが当社で働く醍醐味ですね。
まさにそうですね。いろいろな案件を経験することで、技術や知識の幅を広げて高めていくことができます。それも当社でキャリアを積む魅力だと思っています。

※内容はインタビュー当時のものです。

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